「営業はアドリブで臨機応変に」と教わってきた方は多いはずです。
私はその考え方を真っ向から否定しています。
私はインビクタスの代表で、オンラインの営業大学サイエンスセールスカレッジの学長を務める岡哲也です。
これまで100社近いクライアントの営業を立て直してきました。
結論から言います。アドリブで喋っている営業マンは売れません。
売れる人は冒頭の雑談からクロージングまで、全部「台本」で話しています。
読者営業って、その場の対応力やセンスが大事なんじゃないんですか



逆です。対応力ではなく、決まった型を持っている人ほど売れます。今日はその理由を全部お話しします
①営業は全部台本。アドリブで売れる人はいない
②人は不満と不安がないと動かない
③自社で解決できる課題を1つずつ潰す。この3つが私のメソッドの土台です。
なぜアドリブで喋る営業マンは売れないのか
営業の世界では「臨機応変なトークが大事」という通説が根強くあります。お客様の反応を見ながらその場で言葉を組み立てる、という考え方です。
しかし現場を見てきた私の結論は明確です。
アドリブで喋っている人ほど成績が安定しません。なぜなら、毎回ゼロから言葉を作っていては再現性がないからです。
昨日売れたトークを今日も再現できない。調子が良い日と悪い日の差が激しい。これがアドリブ営業の正体です。
毎日同じ商談をしているように見えても、売れる人の頭の中には決まった流れがあります。アドリブに見えて、実は型をなぞっているだけなのです。
営業は「舞台に上がった俳優」と同じ
私はよく、営業を舞台俳優に例えます。お客様の前に立つというのは、営業という舞台に上がった俳優とまったく同じだからです。
では考えてみてください。台本のない舞台などありえるでしょうか。
「ここからここはアドリブで」と役者任せにする劇団など存在しません。
プロの俳優ほど台本を完璧に頭に入れ、その上で自然に演じます。営業も同じで、型を持っているからこそ、お客様の前で落ち着いて振る舞えるのです。
アドリブが許されるのは、台本を完全に体に入れたベテランだけです。土台となる型がなければ、アドリブは単なる行き当たりばったりになります。
「センスがある人しか残れない」という誤解
営業は、類まれなセンスがある人か、断られても平気な強いメンタルを持つ人しか生き残れない。世間ではそう思われています。
確かに、センスがある人は売れます。しかしそれは一部の話です。センスに頼る限り、再現も育成もできません。
断られても平気な強いメンタルがある人だけが残る、という見方も同じです。メンタルの強さは、結果が安定して初めて手に入るものだと私は考えています。
私は東京工業大学の理学部を出て、博報堂で5年半働いたあとに生命保険の世界へ移りました。生まれつき営業の素養があったわけではありません。
私はプルデンシャル時代、MDRTに4年連続で選ばれました。管理職としても結果を出し続け、育成したメンバーの60%がMDRTに到達しています。
個人としては全国2位まで行きましたが、それも才能ではなく型を磨き続けた結果です。だからこそ、技術として人に伝えられます。
もし営業がセンスだけの仕事なら、育成メンバーの6割が成果を出すことはありえません。営業はセンスではなく、誰でも再現できる技術です。
営業を科学するとは、こうした再現の仕組みを作ることです。気合いや根性ではなく、手順とデータで成果を出す考え方だとご理解ください。
売れない営業マンは「いきなり商品説明」をしている
では、売れない営業マンの話し方は具体的にどこがダメなのか。答えはシンプルです。初対面でいきなり商品の説明を始めてしまうことです。
初めましてのあいさつのあと、すぐに商品の特徴やスペックを一生懸命説明する。
お客様にはまだ不満も不安もないので、何を言われても響かない。これが最も多い失敗です。
お客様の立場で考えれば当然です。欲しいとも思っていない商品の説明を一生懸命されても、心は1ミリも動きません。
不満と不安がなければ人は動かない
私の営業論の基礎をお伝えします。人は現状に不満がないと買い物をしません。お腹が減らなければご飯を食べたいと思わないのと同じです。
喉が渇けば水を飲みたくなる。足りないという感覚があって初めて、人は何かを満たそうと動き出します。買い物もまったく同じ仕組みです。
そして、不安がなければ行動に移しません。今の状態で困っていない人に、どれだけ良い商品を説明しても欲しくならないのです。
だからこそ、最初にやるべきは商品説明ではありません。お客様が今抱えている不満や不安は何なのか。それを一緒に共有する作業から始めます。
7%の死亡確率と7%の宝くじ
人にはひとつの強い心の癖があります。自分に都合のいいことは起こる確率を高く、都合の悪いことは低く見積もるという性質です。
例えば、65歳までに死ぬ確率が7%だと聞いても、多くの人は「7%なら大丈夫」と考えます。自分が死ぬのは都合が悪いので、当たらない側に置くわけです。
ところが、7%の確率で1億円当たる宝くじがあれば、同じ人が「当たるかも」と思って買います。都合がいいことは、起こる確率を高く見積もるからです。
人は自分に都合のいい未来を信じたい生き物です。その心理を理解せずに正論をぶつけても、お客様は決して動いてくれません。
生命保険を例にします。あなたが亡くなったら1億円お渡しします、毎月10万円ください。こう言われても、自分は大丈夫だと思う人は買いません。
けれど、子供が無事に大人になるまでのお金を準備したいと考えれば話は別です。その7%に対してこれくらいの保険料なら払ってもいい、という判断が生まれます。
つまり同じ7%でも、受け取り方は正反対になります。だから生命保険のような商品はとても売りづらいのです。お客様は自分は大丈夫だと思い込んでいます。
ここで必要なのが、まず不満や不安を一緒に考える時間です。お金に関する不安を一度整理しませんか、という入り方をします。そこで初めて課題が見えてきます。


台本営業の核は「解決できる課題を1つずつ潰す」



でも相手から色々な答えが返ってきますよね。それを台本に落とすのは難しくないですか



そこが誤解です。自分のサービスで解決できる課題は、実はそんなに多くありません。だから台本にできます
相手の反応が読めないからアドリブになる、と考える方は多いです。しかし、自社のサービスで解決できる課題は限られています。
自社で解決できる課題は限られている
例えば生命保険なら、万が一のときのお金と、入院したときのお金。解決できる問題はおおむねこの範囲です。無限のパターンがあるわけではありません。
だから、解決できそうな課題を1つずつ取り上げ、お客様自身に想像してもらいます。「この点はどうですか」と順番に確認していくのです。
ある課題を提示して、お客様が違うと言えば外す。次の課題を出して、相続で備えがあると言えば外す。残ったものだけが本当の課題です。
入院費は気にしていないかもしれない。相続で資産があるから備えは不要かもしれない。1つずつ潰していけば、お客様に本当に必要な課題だけが残ります。
これは商品の説明ではなく、解決策の提案です。説明を一生懸命する営業マンが世の中には溢れていますが、お客様が求めているのは課題の解決だけです。
自社のサービスで解決できる課題を、商談前にすべて書き出します。生命保険なら万が一の備えと入院費といった具合です。
いきなり説明せず、今の状況で気になっていることを一緒に整理します。ここで初めてお客様が自分の課題に気づきます。
洗い出した課題を順番に提示し、必要か不要かをお客様自身に判断してもらいます。不要なものは外し、必要な課題を残します。
残った課題に対してのみ、解決策として商品を提案します。経済合理性が見合えば、お客様は自然に判断してくれます。
B2B営業も「御社の課題は何ですか」から始まる
この考え方は法人営業でもまったく同じです。むしろB2Bこそ、これができないと絶対に売れません。
御社が今抱えている課題は何ですか。そこから入らずに自社製品の機能を並べても、相手の心は動きません。課題の共有が先、提案は後です。
法人の担当者も、自社の課題を整理しきれていないことが多いものです。だから質問を通じて課題を一緒に言語化する作業に、大きな価値があります。
製品の機能を10個説明するよりも、相手の課題を1つ特定するほうが、はるかに受注に近づきます。順番を間違えないことが重要です。
冒頭のアイドリングトークも台本でいい
初対面のあいさつのあとに入る雑談を、私はアイドリングトークと呼んでいます。本編に気持ちよく入るための助走です。
ここでも私の答えは変わりません。アイドリングトークもスクリプトです。アドリブはありません。助走で毎回つまずいては、本編もうまくいかないからです。
助走でつまずく走り幅跳びの選手はいません。営業も同じで、入りが安定して初めて、本編の課題共有に集中できるようになります。
型は1つあれば十分
アイドリングトークは何種類も用意する必要はありません。同じパターンを1つ持っておけば十分です。
正直に言うと、営業をやっている人にものすごく頭が切れる人は多くないというのが私の結論です。だからこそ、何個も覚えるより1個を磨くべきなのです。
天気の話でも、最近のニュースでも構いません。自分が一番スムーズに本編へつなげられる型を、1つだけ完成させておきます。
自分が本編に乗るための入り口は、固定で作っておく。ここでアドリブをかますと、相手の反応次第で入りが崩れてしまいます。
共通点を無理に探すと逆効果になる



お客様との共通点を探して距離を縮めよう、とよく言われますよね



共通点を探すのは間違いだと思っています。初対面の営業マンに共通点を探されたいお客様はいません
ラポール形成のために共通点を見つけよう、という指導は世の中に溢れています。私はこれに反対です。
考えてみてください。初めて訪ねてきた営業マンに、共通点を探られて嬉しいでしょうか。お客様は最初、必ず壁を作っています。
こちらは共通点を見つけたい。お客様は探られたくない。この距離感を読み違えると、踏み込みすぎだと感じさせてしまいます。
距離を縮めようとした行動が、かえって距離を広げてしまう。これがよくある失敗です。焦って踏み込む必要はまったくありません。
共通点は無理に探さなくていい。それより、決まった型で気持ちよく本編に入るほうが、よほど成果につながります。
アドリブ営業と台本営業はここまで違う
ここまでの話を、アドリブ営業と台本営業の違いとして整理します。両者は出発点からまったく異なります。
| 比較軸 | アドリブ営業 | 台本営業 |
|---|---|---|
| 話の組み立て | その場で考える | 事前に型を決める |
| 再現性 | 低く日によって差が出る | 高く誰でも再現できる |
| 商談の入り方 | いきなり商品説明 | 不満と不安の共有から |
| 冒頭の雑談 | 毎回その場で対応 | 1つの型を固定する |
| 育成のしやすさ | センス頼みで教えにくい | 技術として教えられる |
この違いが、成績の安定度と育成のしやすさを大きく左右します。台本営業は、属人化せず組織で再現できる点が最大の強みです。
アドリブ営業は、できる人が辞めた瞬間に売上が落ちます。台本営業なら型が組織に残るので、人が変わっても成果を再現できます。


営業の型は才能ではなく誰でも再現できる技術
私は2019年11月にインビクタスを創業しました。創業1か月後に世界中でコロナが流行し、即座に潰れかけたのが正直なところです。
それでも7期目を迎え、社員9名を抱える会社になりました。年商はおよそ3億円です。支えてくれたのは、精神論ではなく再現できる営業の技術でした。
現場で起きていることを言語化し、体系化する。これが私の得意分野です。
売ったことのない商材でも、台本を作ってその通り話せば売れます。
私が大事にしているのは、現場で起きていることを誰でも使える言葉に翻訳することです。感覚を言語化できれば、それは技術になります。
台本があるから、緊張せずにお客様と向き合えます。次に何を話すか迷わないので、相手の課題に集中できるのです。
これを100社近いクライアントで実証してきました。サイエンスセールスカレッジの受講生も460名を超え、多くの方が成果を出しています。
私の経歴や実績の詳細はMDRT4年連続・岡哲也の経歴と実績のページにまとめています。営業を科学する考え方の背景もご確認いただけます。
科学的営業メソッドの全体像はサイエンスセールスカレッジとはのページで解説しています。受講前の疑問はOKAZAPのよくある質問もあわせてご覧ください。
アドリブが苦手な人からよくある3つの質問
ここまで読んでも、それでも不安が残る方はいると思います。アドリブが苦手な方からよくいただく質問に、まとめてお答えします。
アドリブが苦手でも営業で売れるのか
むしろアドリブが苦手な人ほど、台本営業に向いています。その場の機転に頼らず、決めた型を丁寧になぞればいいからです。
とっさの一言が出てこないと悩む必要はありません。営業で必要なのは反射神経ではなく、事前に用意した流れを再現する力です。
苦手意識の正体は、何を話すか決まっていない不安です。型で台本が決まれば、その不安はほとんど消えてなくなります。
大切なのは、苦手なまま現場に出ないことです。練習で型を体に入れてから商談に臨めば、苦手は表に出てきません。
とっさの質問にはどう対応すればいいのか
想定外の質問が怖いという声もよくいただきます。しかし自社で解決できる課題が限られている以上、来る質問もある程度は決まっています。
よく出る質問を事前に書き出し、答えの型を作っておく。これだけで、とっさの対応の9割は準備でカバーできます。
お客様の質問の8割は、過去の商談で一度は聞かれたものです。記録して型化すれば、初めての質問は意外なほど少なくなります。
本当に想定外の質問が来たら、その場で無理に答えず持ち帰ればいい。アドリブで取り繕うより、よほど信頼されます。
才能がないと感じる人は何から始めればいいのか
自分にはセンスがないと感じる方は、まず1つの型を完成させることから始めてください。最初は1つで十分です。
才能ではなく手順の差です。手順は誰でも学べます。だから営業は、努力が最も報われる仕事の1つだと私は考えています。
私が育てたメンバーの60%がMDRTに到達したのも、才能ではなく型を共有した結果にすぎません。スタート地点は関係ないのです。
営業を才能の世界だと諦めてきた方こそ、台本という技術で結果は変わります。型を持てば、成果は後からついてきます。
台本どおりだと不自然にならないか
棒読みになるのが心配という声もあります。しかし俳優が台本を自然に演じるように、練習を重ねれば台本は自然な会話になります。
不自然なのは台本そのものではなく、練習不足です。型を体に入れるほど、お客様には作り込まれた印象を与えません。
言葉を一字一句覚えるのではなく、流れと意図を覚える。そうすれば、その場の言い回しは自然に変えられます。
苦手、とっさ、才能という3つの不安は、すべて型を持つことで解消できます。アドリブを手放すことが、その最初の一歩です。
まとめ 営業にアドリブはいらない
アドリブで喋る営業マンが売れないのは、再現性がないからです。売れる人は冒頭の雑談から本編まで、すべて型を持っています。
いきなり商品説明をするのではなく、まず不満と不安を共有する。自社で解決できる課題を1つずつ潰し、残った課題に解決策を提案する。これが台本営業の核です。
もし今、アドリブで毎回手探りの営業をしているなら、まずは1つの型を作るところから始めてみてください。それだけで商談は安定し始めます。
結論として、営業にアドリブはいらない。売れる人は全部台本で話している。そして台本は才能ではなく、誰でも再現できる技術だということです。
科学的な営業の型を体系的に学びたい方に向けて、無料のオンライン説明会を開いています。まずは気軽にのぞいてみてください。


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