商談の最後に「検討します」と言われ、そこから先に進めずに固まってしまう。これは多くの営業マンが抱える悩みです。
これ以上押したら嫌われるかもしれない。そう感じて言葉が出ず、そのまま連絡が取れなくなる。よくある負けパターンです。
断られるのが怖くて、肝心のひと言が言えない。あのトークを出せばよかったと商談のあとで悔やむ。心当たりのある方は多いはずです。
結論から言います。「検討します」は、決まった型で切り返せます。今日はイエスバット法という反論処理の基本を、私の現場のやり方でお伝えします。
読者お客様から検討しますと言われた後、なかなかセールスまで持っていけない人が多いんです



あります。現場で弱さが出る場面です。でも切り返しの型はちゃんとあるので安心してください
相手の言葉にまず共感し、その上で切り返す反論処理の型です。共感を飛ばして反論すると、ただの否定になり商談が壊れます。共感が先、切り返しは後が鉄則です。
そもそもお客様は本当に「検討」していない
切り返しの前に、大事な前提があります。検討しますと言うお客様のほとんどは、本当に検討していません。ここを誤解すると対応を間違えます。
世の中の商品に、そこまで大きな差があるものは多くありません。本当に比較したい人なら、その場で具体的な質問が出てくるはずです。
例えばパソコンに詳しい人なら、性能やCPUを自分で調べ、具体的に質問してきます。本気で比較したい人は、その場で前のめりに動くものです。
逆に、ブランドが好きで心が決まっている人は、そもそも比較すらしません。検討しますという言葉自体が、迷っているサインだと考えてください。
検討したいのではなく、今は決められない、今は決めたくない。その気持ちを言い換えているだけです。だから検討を手伝うのではなく、決められない気持ちをほぐします。
検討する時間も判断基準も持っていない
考えてみてください。多くの人は日々の睡眠や自由時間すら足りていません。そこを2時間も3時間も削って検討する人が、どれだけいるでしょうか。
しかも、何を基準に検討するのかが曖昧なままです。500万円の車のローン10万円が払えるかを1週間考えて、明確な答えが出るわけではありません。
仮に1週間あったとしても、その車を買うかどうかを毎日真剣に悩み続ける人はまずいません。気づけば期限が来て、また検討しますと繰り返すだけです。
つまり、検討しますと言ってきちんと検討できている人は、ほとんどいないのです。
「今決められない」を言い換えているだけ
ではなぜ検討しますと言うのか。答えはシンプルです。今は決められない、今は決めたくない。その気持ちを言い換えているだけなのです。
もちろん、自分の判断基準を持って本当に検討する人も、たまにはいます。しかし大半は、断り文句として口にしているだけだと考えてください。
この前提に立つと、切り返しの設計が変わります。検討の手助けをするのではなく、今は決められないという気持ちをほぐす方向に動くのです。
だからこそ、検討してきてくださいと送り出すのは得策ではありません。多くの場合、何も進まないまま、次の機会も静かに流れていきます。


切り返しの基本はイエスバット法
では具体的な切り返しに入ります。基本となるのがイエスバット法です。欧州話法や反論処理とも呼ばれる、昔からある考え方です。
難しい話に聞こえるかもしれませんが、やることは2つだけです。先に共感して受け止め、それから切り返す。順番を守るだけで結果は変わります。
まず共感を長く取る
最初にやるのは共感です。今日初めて聞いて、すぐに決めるのは大変ですよね。こう言って、お客様の気持ちをそのまま受け止めます。
ここで大切なのは、この営業は分かってくれていると感じてもらうことです。共感が伝わって初めて、次の言葉を聞く耳ができます。
共感の言葉は、相手の状況をそのまま言葉にするのがコツです。今日が初対面なら、初めて聞いて即決はしづらいですよね、と返すだけで十分です。



共感するだけで、本当に切り返せるんですか



共感が肝です。むしろここを飛ばすと、その後に何を言っても刺さりません
共感が短いと「バット砲」で喧嘩になる
イエスバット法でつまずく人の多くは、共感が短すぎます。分かりますと一言だけ言って、すぐ反論に入ってしまうのです。
これでは単なるバット砲です。検討したいですよね、でも1週間忙しいじゃないですか。こう畳みかけると、お客様と軽い喧嘩のようになります。
おっしゃること分かるんですけど、と言いながらすぐ反論するのも同じです。共感のように見えて、距離が近すぎる否定になってしまいます。
共感は長く取るほど効きます。1週間のうち検討する時間がどれくらい取れそうか、一緒に想像してもらうくらい丁寧に進めます。
空気をかき混ぜて決定のボールを投げ返す
共感で受け止めたら、次は空気をかき混ぜます。今決めてもしょうがないという空気を、今決めてもいいかもしれないへ変えていく工程です。
かき混ぜるとは、無理に説得することではありません。決めるのは今でなくていい、という思い込みを、いったん横に置いてもらう作業です。
「今決めてもしょうがない」と思える話を投げかける
具体的にはこう投げかけます。今から私の話を聞くと、検討してもしょうがないから今決めようと思うような話があるんですけど、聞いていただけますか。
そして安心材料も添えます。聞いた結果やっぱり決められなければ、持ち帰っていただいて大丈夫です。こう言うと、お客様は身構えずに話を聞けます。
ポイントは、決めさせようとしないことです。あくまで、聞いてから判断してくださいという姿勢を崩しません。この余裕が、相手の警戒を解きます。
検討時間の現実を会話で確認する
ここで使うのが、検討時間の現実を一緒に見る会話です。仕事は何時に終わりますか。その後は何をして、何時に寝ますか。こう順番に聞いていきます。
会話は自然な雑談から入ります。仕事のあとは家でビールを飲みますか、シャワーを浴びて何時に寝ますか。生活の流れを一緒に見ていくイメージです。
その流れの中に、保険料を2万円にするか3万円にするか徹夜で考えますか、と置いてみます。多くの人は、そこまではしないと自分で気づきます。
その上で問いかけます。忙しい毎日の中で、1日に3時間も4時間も、私のために検討していただけそうですか。多くの方は、そこまではできないと答えます。
1週間後に会っても、結局あれが一切考えられなかった、という人がとても多いのです。検討の時間は、現実にはほとんど取れません。
本人にその気があっても、現実の生活はそれほど暇ではありません。検討は、放っておくと永遠に終わらない宿題のようなものです。
だからこう続けます。そういう考え方なら、今ある程度気に入っていただいているこの場で決めてもらえませんか。決定のボールを、お客様に投げ返すのです。
今日初めて聞いてすぐ決めるのは大変ですよね、と気持ちを受け止めます。共感は短くせず、長く取るほど効きます。
少し聞いたら印象が変わるかもしれない話があると投げかけ、検討時間の現実を一緒に確認します。決めてもいい空気をつくります。
そういう考え方なら今日決めてもらえませんか、と決定をお客様に返します。返ってきた新しい断り文句も同じ型で対応します。
ボールを投げ返すと、次のボールが返ってきます。高い買い物だから親に相談したい、といった具合です。これにも同じ型で対応します。
まず共感し、皆さん相談しないとおっしゃるんですよと空気をかき混ぜ、今日決めてもらえませんかと、また投げ返す。このやり取りの精度が成約を左右します。
投げ返した結果、確かにそうかと納得して決まることもあれば、じゃあこれでいいやと軽く決まることもあります。どちらも前進です。
大事なのは、決められないというボールをそのまま受け取らないことです。受け取って終わる営業は、まさにその場で止まってしまいます。


「検討します」以外の断り文句も全部同じ型
ここで朗報です。切り返すべき断り文句は、5つのパターンしかありません。すべて同じイエスバット法で対応できます。
検討したい、勉強したい、比較したい、相談したい、なんとなく踏ん切りがつかない。決断を先送りする言葉は、この5つに集約されます。



検討します以外の断り文句も、全部同じ対応でいいんですか



一緒です。5パターンしかないので、型を覚えれば全部さばけます
| 断り文句 | お客様の本音 | 共通の対応 |
|---|---|---|
| 検討したい | 今は決めたくない | 共感し空気をかき混ぜ投げ返す |
| 勉強したい | 判断に自信がない | 共感し空気をかき混ぜ投げ返す |
| 比較したい | 違いが分からず不安 | 共感し空気をかき混ぜ投げ返す |
| 相談したい | 一人で決めるのが怖い | 共感し空気をかき混ぜ投げ返す |
| 踏ん切りがつかない | 背中を押してほしい | 共感し空気をかき混ぜ投げ返す |
本音は少しずつ違いますが、根っこは同じです。今は決められない気持ちを共感で受け止めてから、ほぐしていく。この流れは変わりません。
逆に言えば、この5つさえ台本にしておけば、商談の終盤で慌てることはなくなります。何を言われるか分かっていれば、落ち着いて返せます。
初めて聞く断り文句に思えても、5つのどれかに当てはまります。当てはめて共感から入る。これだけで対応の質が安定します。
切り返しは才能ではなく台本である
ここまで読んで、自分にはこんな切り返しは無理だと感じた方もいるかもしれません。でも安心してください。切り返しは才能ではなく台本です。
台本を覚えていない俳優はいない
1週間のうちに検討する時間はどれくらい取れそうですか。この問いかけも、その場の思いつきではありません。すべて事前に用意したスクリプトです。
その場の機転で乗り切ろうとするほど、商談は不安定になります。準備した言葉があるからこそ、堂々と最後のひと押しができるのです。
台本を覚えた上で、どういう表情で演じるか。それが演技です。台本を覚えていない俳優がいないように、台本のない切り返しもありえません。
ロールプレイは演技の練習にあたります。しかし台本が頭に入っていなければ、演技の練習にすらなりません。まず型を覚えることが出発点です。
検討しますの台本を作って練習する。相談したいと言われたときの台本も作って練習する。この反復が、安定した成約率を生みます。
私はプルデンシャル時代、個人で全国2位、管理職としては世界1を3年続けました。MDRTにも4年連続で選ばれています。
それでも成果の正体は才能ではなく型でした。だからこそ、育成したメンバーの60%がMDRTに到達しています。
才能で売る人は、調子の波に左右されます。台本で売る人は、誰がやっても一定の成果に近づきます。この差が、長く売り続けられるかを分けます。
2019年11月に創業したインビクタスも7期目を迎え、100社近いクライアントで同じ型を実証してきました。受講生も460名を超えています。
サイエンスセールスカレッジでは、こうした基本の型を作る課題を出し、提出いただいた台本に一つひとつフィードバックを返しています。
私の経歴や実績は元プルデンシャルの岡哲也の経歴と実績にまとめています。科学的営業の全体像はサイエンスセールスカレッジとはでご確認ください。
受講前の疑問はOKAZAPのよくある質問でも回答しています。台本作りを体系的に学びたい方の入り口になるはずです。
「検討します」切り返しでよくある質問
検討しますへの切り返しの例文が知りたい
基本の例文はこうです。すぐ決めるのは大変ですよね、と共感する。今から話すと印象が変わるかもしれないので少し聞いてもらえますか、と投げかける。
その上で、忙しい中で検討の時間が取れそうかを一緒に確認し、それなら今日決めてもらえませんかと投げ返す。これを自社の商材で作り込みます。
沈黙されたときはどうすればいいのか
沈黙は、お客様が考えているサインです。ここで焦って言葉を重ねると、せっかくの思考を邪魔します。共感したあとは、相手の言葉を待つ余裕も必要です。
しつこいと思われないか心配だ
共感を長く取っていれば、しつこさは出ません。嫌われるのは押すからではなく、相手の気持ちを無視して押すからです。順番を守れば問題ありません。
値段が高いと言われたときも同じか
価格への抵抗も、根は今は決めたくないと同じです。まず高く感じますよね、と受け止め、何と比べて高いのかを一緒に整理してから話を進めます。
金額そのものより、払う価値が見えていないことが多いものです。解決できる課題と照らし合わせれば、お客様の見方は少しずつ変わっていきます。
切り返しても決まらないときはどうするか
無理に押し切る必要はありません。その日に決まらなくても、共感を重ねた事実は残ります。次の接点で、お客様の方から話が進むこともあります。
まとめ 検討しますは台本で切り返せる
検討しますと言われても、慌てる必要はありません。お客様の多くは検討したいのではなく、今は決められないだけだからです。
まず共感で受け止める。次に空気をかき混ぜる。そして今日決めてもらえませんかと、決定のボールを投げ返す。この3拍子が切り返しの核です。
今日の内容は、反論処理のほんの入り口にすぎません。自分たちの商材に合わせて台本に落とし込み、反復して初めて武器になります。
結論として、検討しますの切り返しはセンスではなく台本だということです。5つのパターンの型を作って反復すれば、誰でも成約率は上がります。
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