読者「もっと自信を持って」「説明を短く」と言われます。気をつけているのに、次の商談でも同じ指摘を受けてしまいます。



自分たちの商材に合わせて台本を作り、反復練習していく必要があります。
「説明を短く」という指摘も、実際に何と言い直すかまで決めて初めて練習できます。「気をつける」で終わらせず、次に話す一文に変えていきましょう。
そこで、指摘された発言を取り出し、省く言葉と残す情報を決めます。この記事では聞き返し方だけでなく、修正後の会話と、できるようになったかを確かめる基準まで扱います。
この記事では、指導を受ける前の準備から、曖昧な助言を具体化する聞き方、修正前後の記録までを一つのメモにまとめます。次の練習で使う一言を決めていきましょう。
指摘を聞いたら、まず場面と行動を分ける
「説明が長い」という指摘だけでは、商談のすべてを短くすべきか判断できません。前置きが長かったのか、必要な条件まで省かず説明していたのかで修正は変わります。
評価の言葉を、実際に起きた行動へ戻します。
最初に聞くのは、指摘が当てはまる場面です。何の話をしていたときか、相手は何と答えたのか、自分はその後に何をしたのかを揃えます。
| 指摘の言葉 | 確かめたいこと | 聞き返す例 |
|---|---|---|
| 説明が長い | 不要だった部分と必要だった部分 | どの説明を省くと伝わりやすくなりますか |
| 自信を持って | 聞き取りづらさ、語尾、根拠の不足 | 自信がないように見えたのはどの発言ですか |
| もっと深く聞く | 未確認の情報と追加質問 | あの場面では何を聞く必要がありましたか |
| 相手に合わせる | 相手の返答と次の行動のずれ | 相手のどの返答を受けて変えるべきでしたか |
指導者に反論するための質問ではありません。同じ場面を見ているか確認し、次に直す行動を共有するために聞きます。
相手がその場面を思い出せない場合は、分かる範囲のメモを出します。記憶が曖昧な部分を埋め合わせず、次のロープレで同じ観点を見てもらう方法もあります。
指導を受ける前に用意するのは一場面の記録
何も材料を持たずに「営業がうまくなりたいです」と相談すると、一般的な助言になりやすくなります。資料一式を整えるより、最近の一場面を具体的に持っていきましょう。
準備するのは、会話の目的、相手の返答、自分の発言、迷った点です。顧客名や契約情報を除いても、会話の構造は説明できます。
- 会話の目的:導入時期を決めるための条件を聞きたかった
- 相手の返答:今は忙しいので時期を見たいと言われた
- 自分の行動:来月なら進められるかを続けて聞いた
- 迷った点:何を確認すればよかったか分からない
この記録なら「忙しい事情をどこまで聞いたか」「日程の前に担当者を確認したか」と、行動に近い助言を受けられます。
自分なりの案を一つ添える
正解を出してから相談する必要はありません。ただ、自分でどこまで考えたかを伝えると、足りない観点を確かめやすくなります。
「次は、準備を担当する方の予定を先に聞こうと思っています。この順番でよいでしょうか」と、試す案を添えてください。
案を持つ目的は、評価されることではありません。指導者の答えを聞いた後で、自分の判断との違いを捉えるためです。
記録がないときは会話を再現する
覚えている範囲で自分の発言を声に出します。「丁寧に説明しました」という要約より、実際の言い方の方が語尾や前置きを確かめられます。
相手の発言を正確に覚えていない場合は、その箇所を事実として再現しません。分かる発言を起点に、練習用の条件を決めて試してください。
「分かりました」で終わらせず、修正を言葉にする
指摘の意味が分かったら、自分がどう変えるつもりかを短く返します。ここで理解がずれていれば、練習に入る前に直せます。
たとえば「説明を短く」と言われた後に「次は全体を早口で話します」と受け取ってしまうと、伝えたいことから離れます。短くするのは時間なのか、情報の量なのかを区別しましょう。


| 修正前の受け止め方 | 修正を具体化した返答 |
|---|---|
| 次は気をつけます | 冒頭の商品一覧を省き、相手が困っている作業から話します |
| もっと質問します | 提案の前に、今の運用で一番負担が大きい作業を聞きます |
| 自信を持ちます | 説明できる事実と、確認して返すことを分けて話します |
| 相手をよく見ます | 質問への回答が終わってから次の質問へ進みます |
修正は、自分が動かせる行動にします。「相手に納得してもらう」だけでは、自分が何を変えたのか評価できません。
複数の指摘を受けたときは、順番を決める
話す速度、質問の数、商品知識、姿勢などを一度に指摘されると、次の練習で何から直すか迷います。全部を同時に意識する前に、今の会話を止めている行動を選びます。
選ぶ基準は、重要度だけでなく前後関係です。商品の条件を誤解しているなら、言い方の練習より先に内容を確認します。質問の目的が不明なら、声量だけを変えても解決しません。
| 今の状態 | 先に取り組むこと |
|---|---|
| 商品の条件を間違えている | 正しい資料で説明内容を確かめる |
| 何を聞くか決まっていない | 質問で確かめたい情報を一つ決める |
| 内容は決まっているが言葉が出ない | 短い台本にして声に出す |
| 話せるが相手の返答を遮る | 返答を受けてから次へ進む練習をする |
指導者には「次の実演では、この一点から直してよいですか」と確認します。重要な指摘を無視するのではなく、取り組む順番を揃えるための確認です。
残りの指摘もメモに残します。ただし、次の実演で観察する項目と、後で扱う項目は分けてください。すべてを今回の失敗として抱え込まないためです。
その場で短く話し直す
助言を受けた直後に、一度だけでも修正した言い方を試します。頭の中で理解したつもりでも、実際に話すと長さや順番の難しさが見えてきます。
練習の範囲は商談全体でなくて構いません。提案の前の質問、説明の冒頭、次の約束を決める一言など、指摘に関係する場面を選びます。
練習例|説明を減らして質問へつなぐ
修正前は、相手が報告作業の負担を話した直後に、商品の機能をすべて紹介していました。修正後は、作業のどこで困るかを聞いてから必要な機能に絞ります。
- 修正前:入力、集計、通知、保存などさまざまな機能があります
- 修正後:報告作業では、集める段階とまとめる段階のどちらに負担がありますか
- 観察点:質問の後に、回答を待ってから機能を選んだか
この練習は、質問文を一字一句合わせるためのものではありません。顧客の事情を確かめる前に機能一覧へ入る流れを変えられたかを見ます。
練習例|分からない条件を言い切らない
自信がないように見える原因が、未確認の条件を曖昧に説明することだったとします。この場合は、強い口調で押し切る修正にはしません。
- 修正前:たぶんその日までに使えると思います
- 修正後:標準の準備期間は資料に記載されています。今回の日程に間に合うかは担当部署へ確認してご連絡します
- 観察点:分かる事実と、確認して返す内容が分かれているか
本番の条件に合わせて、約束できる連絡日時も決めます。確かめていない期限を練習の勢いで約束しないようにしましょう。
指摘から再実演までを、一つの会話で確かめる



具体的に聞き返したつもりでも、結局「お客様に合わせて」と言われます。そこからどう進めればいいですか?
自分の発言を短く再現し、候補を比べてもらいます。「何を直せばよいですか」と全体を預けるより、直したい箇所が伝わります。
「説明が長い」と言われた場面の練習例
顧客は、報告の入力漏れを確認する手間に困っています。営業役が集約・通知・保存・出力の機能を続けて紹介したところで、説明の長さを指摘された場面です。
| やり取り | 発言例 |
|---|---|
| 本人が場面を示す | 入力漏れのお話の後に、四つの機能を説明した部分でしょうか |
| 指導者が焦点を絞る | そうです。確認の手間を減らせる機能から話しましょう |
| 本人が修正を試す | 入力漏れの確認では、誰の回答がまだないかを調べる作業が多いのでしょうか |
| 顧客役が補足する | 誰が未提出かより、提出された内容の抜けを確かめる方が大変です |
| 本人が言い直す | 提出済みの内容の確認なのですね。どんな抜けが多いか、一つ教えていただけますか |
この例では、最初の修正もまだ十分ではありません。未提出者を探す機能を説明したら、顧客の課題から外れます。相手の訂正を受けて質問を変えるところまでが再実演です。
短く話せたかだけでなく、相手の返答によって説明を選び直せたかを見ます。
再実演を見てもらうときは「前より良いですか」で終えず、「今の返答を受けた質問は、入力漏れの具体例を確認する質問になっていますか」と聞いてください。
次の商談で確かめる基準を置く
| 状態 | 観察できたこと | 次に練習すること |
|---|---|---|
| 修正前 | 課題を聞いた直後に機能を並べた | 説明の前に具体例を一つ聞く |
| 一部できた | 質問はしたが、返答に関係なく説明した | 相手の訂正を要約して返す |
| 次へ進める | 具体例を聞き、その課題に合う説明を選んだ | 別の返答でも説明を選べるか試す |
これはこの記事の練習用の確認表です。上司に渡す際は、自分の商品では何を確認できれば説明へ進めるかを一緒に決めます。
AIの指摘は、点数ではなく該当発言から読む
SalesforceのAgentforce Sales Coachのように、AIによる練習とフィードバックを組み合わせるサービスもあります。助言がすぐ得られるときほど、次に直す箇所を選ぶ手順が必要です。
「共感が足りない」と表示されたなら、会話のどの発言を根拠にしているかを確認します。根拠が自分の記録にない場合は、その評価をそのまま修正方針へ移しません。
- 自分が話した言葉:実際の記録へ戻る
- 相手役が返した言葉:何に対する返答かを見る
- AIが提案した言葉:商品条件と会話の目的に合うか確かめる
- 次に試す言葉:一案を声に出し、前の版と比べる



AIと上司で評価が違ったら、どちらの言い方を採用するのでしょうか?



1回で教えるテーマを一つに絞り、具体的な行動で基準を決めましょう。
評価が割れたときは「今回は何ができればよいか」に戻ります。見る基準が違うままでは、どちらの助言を採用するか決められません。
たとえばAIが簡潔さ、上司が説明条件の充足を見ていたなら、比較しているものが違います。必要な条件を残しながら前置きを削る案を作れば、両方の指摘を同じ実演で確かめられます。
修正メモは、指摘より「試した結果」を残す
指摘の一覧だけが増えても、できるようになったことが見えません。練習の後には、何を変えたかと、その結果何が起きたかを続けて書きます。
以下のメモを複製し、一場面につき一枚使ってください。長い反省文にせず、再実演する人が状況を思い出せる内容にします。
| 記録項目 | 記入例 |
|---|---|
| 対象の場面 | 顧客が報告作業の負担を話した直後 |
| 受けた指摘 | 相手の事情を聞く前に機能を説明している |
| 変える行動 | 負担の大きい作業を聞いてから説明を選ぶ |
| 試した言葉 | 集める段階とまとめる段階のどちらに負担がありますか |
| 実演で起きたこと | 顧客役が入力漏れの確認について話した |
| 残った課題 | 回答を受けた要約が長くなった |
| 次に試すこと | 作業と困る点を一文で要約する |
実商談で試せたときも、契約だけを結果欄にしません。予定した質問を使えたか、どの情報が分かったか、まだ何が残ったかを記録できます。
次回の確認までを一組にする
指摘を受けた日だけで記録を閉じず、次に見てもらう観点も残します。「質問を分けたので、回答を受けて順番を選べているか見てほしい」と伝えれば、前回からの続きが分かります。
同じ指摘が続いた場合も、何も変わっていないと一括りにしません。準備した言葉は出たが、その後の回答を待てなかったなど、できた部分と残った部分を分けて次の一動作を選びます。
見てもらう依頼文もメモへ残す
次回の相談では、前回の指摘と今回試したことを続けて伝えます。「機能説明の前に質問する形へ直しました。回答に合わせて説明を選べているか、冒頭だけ見ていただけますか」と頼めます。
相談後は、伝わった部分と修正が必要な部分を別々に記入します。直す箇所が増えた場合も、すでに確認できた言い方まで毎回白紙へ戻さず、次に見てもらう一点を決めます。
指導者ごとに助言が違うときの整理
一方では「まず結論から」、別の人からは「もっと丁寧に背景を」と言われることがあります。すぐにどちらかが間違いだと決めず、対象にしている場面を確認します。
初対面の概要説明と、条件を詳しく検討する面談では必要な情報が違います。顧客の知識、会話の目的、残り時間が異なれば、同じ説明の適切な長さも変わります。
助言の前提を聞く
- どのような相手に向けた助言か
- 商談のどの段階を想定しているか
- 何を達成するために変えるのか
前提が同じなのに助言が異なる場合は、両方を台本にして短く試します。第三者に、意図が伝わったかと不足した情報を見てもらってください。
このときも、多数決だけで採否を決めません。顧客へ伝える必要がある条件を欠いていないか、今回の会話の目的に沿っているかを先に確認します。
自分に合わないと感じたとき
実行できない理由を、好き嫌いだけで終わらせず言葉にします。「この順番だと、先に確認する必要がある条件が抜けます」と説明できれば、別の方法を相談できます。
顧客への不正確な説明や、勤務先のルールに反する行動を求める助言は、そのまま実行しません。根拠となる資料や社内の担当者に確認し、正確に案内できる方法へ直します。
厳しい言い方を受けたときも、人格と行動を混ぜない
「向いていない」「やる気がない」といった評価だけでは、次の練習が決まりません。指摘の中から、実際に観察された行動があるかを確かめます。
たとえば準備不足を指摘されたなら、何の資料を用意すべきだったか、どの質問を決めておくべきだったかを聞きます。性格を変える話に広げず、準備の内容へ戻してください。
具体的な助言を得られない場合は、別の指導者や上司へ同じ記録を見せる方法があります。相談する際は相手への評価を先に並べず、会話の場面と困っていることを伝えます。
不快な言い方をすべて我慢することが、フィードバックを受ける力ではありません。仕事上の指導として扱う内容と、相談が必要な対応を分けて考えましょう。
よくある疑問
- その場で質問すると言い訳に見えませんか
-
自分が正しかった理由を先に並べるより、次に何を変えるかを確かめる質問にします。「次はこの順番で試したいので、直す場面を確認させてください」と目的を伝える方法があります。
- 指摘をすべてメモする必要がありますか
-
記録は残しつつ、今回取り組む項目を選びます。メモを完全に書き写すことより、次の実演で見る一点が明確になっていることを優先してください。
- 相手に見てもらう時間がありません
-
一場面の台本と、見てほしい点を先に渡します。「営業全体を見てください」ではなく「この質問が伝わるかを確認したいです」と範囲を絞ると、依頼する内容が明確になります。
次に受ける指摘を、一つの実演へつなぐ
次のフィードバックでは、指摘が当てはまる場面を確かめ、変える行動を自分の言葉で返してみてください。そして短く話し直し、修正前との違いを残します。
反省を増やすより、次に試す一言を決めます。
実演の進め方は営業ロープレの練習と自己評価で確認できます。台本の覚え方を整えたいときは営業スクリプトの練習方法へ進んでください。









